『漆の実のみのる国 上・下』『龍を見た男』藤沢周平著
先週に続き今週も藤沢周平を読んでいる。
藤沢周平の絶筆となった小説で、米沢藩主、上杉鷹山の生涯を描いた作品。
『玄鳥』と同様、箱付き、クロス張りの装幀。装画は歌麿『画本虫撰』(国立国会図書館蔵)より。
とても美しい装丁で、それでもったいなくて読めなかったのか?
いやいや、そうではありませぬ。
なんとお恥ずかしいことに、私は帯の「鷹山」という文字を見て、「鳥居耀蔵」の話か? と勘違いしてしまったんですね。「ようざん」と「ようぞう」、「よう」しかあってないじゃないか、字も違うし・・・って、今なら思うわけですが、そのときはそう思い込んでしまった。
妖怪と呼ばれた鳥居耀蔵を藤沢周平がどう書いたんだ?という、かすかな期待はあったものの、どうにも読みたい気分になれなかった。
買ってから20年、そんな恥ずかしい勘違いのおかげで読まずに放っておかれた気の毒な本。
山形県出身の藤沢周平の絶筆が、上杉鷹山の伝記小説だったということが胸に迫る。
真摯な気持ちで読まなくてはいけないと思ってしまった。
こちらも自宅にあったのに今まで読まなかった本。
うちにあったのは文庫ではなく単行本で、こちらは普通の装幀だった。
ちょっと古くなるともうアマゾンでは文庫本の画像ばかりで、『玄鳥』や『漆の実のみのる国』も単行本の画像はなく、この本も文庫本のみだった。
表題作「龍を見た男」のみ、昭和51年に発表、それ以外は昭和57、58年に発表された短編をまとめた本。
藤沢周平の本は読後、姿勢を正さなくてはいけない気分になる。