日和見日記

pig-pearl 一行紹介 2012年4月に武蔵野美術大学通信教育課程に入学、2018年3月卒業しました。日常生活のあれこれを記述しています。

うーーーん、微妙

この世の春 上

この世の春 上

この世の春 下

この世の春 下

草稿の評価が戻る前に読み始め、講評をチラ見しつつ読了。どっちが大事なんだ? と我ながら思うが、ま、それだけ一気に読んだと思って下さいまし。


この作品は宮部みゆきさんのデビュー30周年の節目の作品らしい。『我らが隣人の犯罪』からもう30年も経ったのか。あの作品は好きだった。軽快で楽しく読ませてもらったおぼえがある。


で、本作。


うーーーーん、上巻はおもしろくて、下巻が楽しみだったのだけれど、途中からどんどん読むのが辛くなり、最後はだるくなってきた。
この作品はいったいどういうジャンルに入るのだろうか?
無理矢理ある特定のジャンルに押し込める必要はないのだけれど、いったいこれは? と思ってしまうくらいいろんなジャンルの要素が入っている。
私が感じたのは、ファンタジーだ。
他にミステリー、サイコ、オカルト、医療、(核心に触れてしまうので、それ以上は書けないが)などなどなど。
どれもが重要なファクターなのだろうが・・・なんと言うか、そのどれもが中途半端。
(こんな偉そうなことを言える私じゃないのは充分承知で書いています)


文章は相変わらず達者でなんだかんだ言いつつも読ませてしまう上手さがある。そこは本当にいつも感心するところ。
登場人物は、主人公始め、宮部さんの作品だったら出てくるだろうキャラクターが次々と総出演って感じかな。
1人、女馬喰の「しげ」が、宮部さんの作品以外にどこかで見たような、聞いたようなキャラクターだなと思いつつ読んでいたのだけれど、読み終わって気付いた。池波正太郎の『剣客商売』に出てくる、根岸流の手裏剣の使い手、杉原秀に似てるんだ、と。
いや、これは私がそう思っただけで、全然似てないと思う人もいるだろう。


それで、最終的に謎は解けた(?)はずなのに、このやりきれない気分はなんなんだろう。
杉村三郎シリーズの時に感じたやりきれなさとは別物。
それで私的にはこれは「ファンタジー」なのだと割り切ることにした。
物語の設定も登場人物も、すべてファンタジーなのだ、そう思えばこのやりきれなさは吹っ切れるかもしれない、と。
あの表紙もタイトルもそれなら納得いく・・・と思いたい。