日和見日記

pig-pearl 一行紹介 2012年4月に武蔵野美術大学通信教育課程に入学、2018年3月卒業しました。日常生活のあれこれを記述しています。

『魔法使いの弟子たち』井上夢人著

井上夢人はかつて徳山諄一とのコンビで岡嶋二人として書いていた。
その頃の作品が大好きで、岡嶋二人名義の作品はほとんど読んだ。
特に好きだったのは、『チョコレートゲーム』(日本推理作家協会賞受賞作)

当時、けっこうショックで(内容ではなく、親が子を思う気持ちが私には辛すぎて)大好きだったけれど一回しか読んでいない。
岡嶋二人作品の特徴は、競馬とコンピューターネタがよく出てくること。競馬好きなんだな〜と思いつつ読んでいたっけ。
岡嶋二人最後の作品は『クラインの壺』で、これはSFだったように記憶している。あまりSFは得意じゃないので、ちょっと辛かった。その後岡嶋二人はコンビを解消し、井上夢人、徳山諄一としてそれぞれスタートした。


岡嶋二人結成から解散までを井上夢人が書いている。

これによると最後の頃は井上夢人が、ネタ出しから執筆までほとんど一人でやっている。
それで、『クラインの壺』は井上夢人は自分の書きたいことを書いたんだろうな、井上夢人のこれからはSF作品が主体になるんだろうな、と思った。
予想通りその後の井上夢人はSF作品が多く、それゆえ私はまったく読んでいなかった。


今回、図書館で、まるでライトノベルのような表紙のこの本を見つけたとき、若干の戸惑いはあったが、久しぶりに読んでみようという気分になって、借りてきた。
以前と変わらず文章はうまく、上巻は、ワクワクしながら一気に読んだ。
でも、下巻は少々辛かった。
これ、どういう結末にするんだろうと思っていたら、アレだった。
もっとも上巻の最後のころもちょっと行き過ぎじゃないか? という気分ではあったのだが、拡げすぎた世界をどうまとめるのか、そうとう無理して結末に持ち込んだ、という気がしてしまう。


それで、今さらながら、岡嶋二人がコンビ解消したのは寂しいことだったと思った。
あのまま続けることは無理で仕方がないことだったと思うが。
井上夢人は徳山諄一にも岡嶋二人について書くように勧めたそうだが、徳山諄一は絶対書かないと言ったそうで、事実書いていない。
私は、当事者ではなく、第三者の書いた岡嶋二人の話が読みたい気がしてきた。