近藤ようこさん

見晴らしガ丘にて完全版

全14話。

ルームメイツ（１） (小学館文庫)

全4巻

近藤ようこさんの作品は地味だけれど、どれも好き。
この二つの作品はどちらもチョーリアル。

近藤さんは独身なのか既婚なのか、それとも離婚経験者なのか…などなど、そんなどうでもよいことをつい考えてしまうくらいリアル。

リアルってなんだろう？
実際の経験を基に書いているからリアル、ってことではない。
良くできた小説、良くできたマンガだって、おもしろいけれど、リアルとは限らない。
たとえば、東村アキコさんの『かくかくしかじか』は東村さんの実体験だし、良くできているマンガだとは思うけれど、私はリアルという感じは受けなかった。東村さんだってリアルを目指していたわけではないだろう（と私は勝手に思っている）。
ああ、そうだ。あの時微妙に感じたのは、その辺だったのかもしれない。
おもしろおかしく、ちょっとばかしバカっぽく、自分を落としているような描き方ではあったが、実際はかなり美化されている。本当のことも多いだろうが、ごまかしている部分、すっ飛ばして描いている部分がとても多いように感じられた。
つまり、それぞれの登場人物のキャラクターがとてもユニークに描かれていて、それだけで十分読ませてしまえるから、それぞれの内面という部分がとても雑な描き方なのだ…と今頃気付いた。
近藤さんのマンガはその辺りが実に丁寧なのだ。だからとてもリアルに心情が伝わる。

それは私が近藤さんと同年代だから感じられるというだけのことなのか？
東村さんとはジェネレーションギャップがあるというだけのことなのか？
違うと思うな。