日和見日記

pig-pearl 一行紹介 2012年4月に武蔵野美術大学通信教育課程に入学、2018年3月卒業しました。日常生活のあれこれを記述しています。

BS1スペシャル「バレエの王子になる!“世界最高峰”ロシア・バレエ学校の青春」

NHKのこの手の番組が好き。以前、同じ学校の女子の様子を描いていたが、今回は男子。

おもしろかった。

 

http://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=20090

 

↑密着取材を行った高橋ディレクターのお話。

 

いやー、厳しいねぇ。

昔、山岸凉子さんの『アラベスク』を夢中で読んでいた時の記憶が蘇りました。

 

番組では卒業を控えた4人の男の子にスポットを当てている。

ミーシャ、マルコ、アロン、キリル。

この中のキリルは抜群の容姿で、モデルのバイトをしていている。vogueロシア版の表紙にもなったりするほど。

ベラルーシ出身の彼は親に金銭的な負担を望めないので、バレエに掛かる費用を自分で稼いでいる。時には実家に仕送りもしているとか・・・苦学生ってことですな。

しかし、なんというか、あまりに恵まれた容姿ゆえか(?)、練習にはあまり熱心ではない。しかも国家試験の前日に発熱、試験中にフラフラになっているキリルに、立て、立つんだ! と校長先生が叱咤激励。あーーー。スポ根ドラマだよ。泣けるね。

 

いや、そんな茶々を入れるような番組じゃない。

すんごく真面目な番組。

抜群の才能を持つミーシャ、学年2番の成績ながらなかなか入団試験に合格しないマルコ(最終的には第一志望のマリインスキーバレエ団に合格!)、才能もあるし、努力も惜しまないが、身長が低いという、努力ではどうしようもない欠点を持つアロン、そして容姿端麗ながら練習嫌いのキリル。

 

「この世界では奇跡は起きない! 才能もコネクションも何の意味もない。努力しか踊り続ける術はない」「努力、努力、努力」「ダンサーは舞台で美しく輝く泡しか見せてはいけない。泡の中には血と汗と涙が浮かぶ」

これ、校長のニコライ・ツィカリーゼ先生のお言葉。

番組中、「努力」という言葉が何度も何度も出てくる。本当に、これでもか!っていうくらい出てくる。

だから校長先生は練習嫌いのキリルが歯がゆくてならない。抜群の容姿だけに努力すれば花形ダンサーになれるのは間違いないのに。。。。って思うんだろうな。

 

結局キリルはボリショイバレエ団にきまり、他の3人はマリインスキーバレエ団に、という、まあかなり順当な結果となった。いや、キリルのボリショイバレエ団には驚いたが、華やかな舞台が売りのボリショイにとって、キリルの容姿は技術以上に魅力的だっただろう。舞台に立っただけでも華がある、そういうスター性があるもんね。

しかし、校長先生じゃないけれど、いくら容姿が良くても努力無しには王子様にはなれない。本人も卒業コンサートで役を降ろされて、ようやくそれがわかってきた(らしい)。

だから降板させたのは、校長先生の最後の愛情、教えだったのかもしれないなーーーーなどと呟いてみたのだった。

 

後の三人はきっちりそれぞれの(ケガや病気がなければ)、自分の目指す道を歩いていくんだろうな、と思えた。

キリルは、バレエで活躍できるようになれるのか、あるいは別の道に進むのか、どうなるんだろうね。ちょっとわからないけれど、どうなるのか気になってしまう、そういう魅力のある男の子だった、という話。