次々と消えてゆく名店
天気が良いので図書館に行きがてら夫と散歩してきた。
桜もチラホラ咲き始め、多分今週末は満開だろう・・・などとウキウキ歩いていたら、駒込駅前の「アルプス洋菓子店」が閉店していた。3月20日が最後だったらしい。
昭和35年(1960年)創業だというから59年の歴史。私が生まれて間もなくから洋菓子を売っていたということだなー。
確かシュークリームが有名だった(私は数回しか食べていないが)。
成城アルプスよりも先で、こちらが本家らしい(多分今は別会社だろうけれど)。
数年くらい前からなんとなく、この店大丈夫かなと感じていたのだけれど、遂に閉店となってしまった。なにがどうということではなく、本当になんとなくなんだけれど、危うい感じがあった。
駒込には「CADOT」(カド)という有名なケーキ屋さんがあった。アルプスと同じ1960年創業。そして一昨年2017年8月に閉店している。57年の歴史。
こちらはバタークリームのケーキと焼き菓子が有名だった。私はカドの方がよく利用していた。近かったし、アルプスよりもケーキが美味しかったから(私の個人的な感想ですが)。
パリの味を最も忠実に受け継いだ店と言われている。だからバタークリームケーキが主流だった。マドレーヌも美味しかった。
店内に川端康成からの書簡だったか、色紙だったかが飾られていた。そういうお店。
しかしカドが閉店の頃にはほとんど行っていなかった。
カドよりも好きなケーキ屋さんが近所にできたから・・・なんだけれど。
その好きだったケーキ屋さん「TRON CONI」(トロンコーニ)も2017年3月に、三島に移転のため閉店してしまった。
トロンコーニは1995年(平成7年)に開店した。22年間の駒込店営業だった。
トロンコーニというお店自体は実はもっと前から営業していた。
以前のお店でも何回か買ったことがある。
ある日、何気なくお店に入ってケーキを買ったらいつもよりずっと美味しかった。それで、前の経営者の息子さんに代替わりしたのかなと思った。
だって店の名前も内装も以前のまんまだったんだもの。でもあとで聞いたら居抜きで買って、店名もそのままで、夫婦二人きりで始めた、以前とはまったく別のお店だった。
小さいながらも地元では美味しいと評判のお店になり、そうこうしているうちに雑誌に紹介されたりして有名店になり、お店も拡張して店員さんもパティシエも増え、駅の向こう側に支店までできちゃった・・・。
ほんとに「あららーっ」という間だった。
そうなるとお客さんも沢山来るし、そうしたらなんとなく、もういいかという気分になってしまった。
以前は接客していた奥さんも、お店の拡張に連れほとんどでてこなくなってしまったし(製造のほうが忙しくなってそちらにかかりきりになってしまったということでした)、なんだか開店当初とは雰囲気がずいぶん変わってしまったから。ケーキは変わらず美味しかったんだけどね。
さて、駒込にはもう1店有名な菓子店があった。
千鳥饅頭やチロリアンで有名な「千鳥屋」。こちらは創業が1630年(寛永7年)という老舗菓子店。一番最初は佐賀県で創業、その後本社を福岡県に移転。
駒込店は、創業者の長男が暖簾分けで1964年(昭和39年)に開店。千鳥屋のグループ会社となった(兄弟がそれぞれに暖簾分けし、独立採算制になっているみたい)。
その駒込店(千鳥屋総本家)が2016年民事再生法の適用を申請。2018年3月閉店となった。経営者が変わって「千鳥饅頭」や他のいくつかの菓子はそのまま残っているし、ネットでも買えるが、本店は消滅した。
カドの跡地はマンションになるようだ(たぶん・・・)。
トロンコーニ移転後はまもなく別のケーキ屋さんになった。
「patisserie lunettes」(パティスリー リュネット)もまた、トロンコーニを居抜きで買ったから店名こそ変わったが、内装は以前のままで営業している。
元トロンコーニは、こうして3代、経営者は変われどケーキ屋さんを存続していくことになった。
千鳥屋のビルはそのまま残っているが本店の後にはスギ薬局が開店した。
アルプスの跡地はどうなるんだろうか。