『一戔五厘の旗』花森安治
ドラマで、花山伊三次(唐沢寿明)が話した「庶民の旗」は「一戔五厘の旗」のことだろう。
- 作者: 花森安治
- 出版社/メーカー: 暮しの手帖社
- 発売日: 1971/01/01
- メディア: 単行本
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夫はドラマを見て涙ぐんでいた。
戦時中、ハガキは一戔五厘だったそうである。その一戔五厘で届けられた召集令状が人々の運命を変えていったのである。
夫の父は海軍の工場に勤務していたため、召集令状は海軍が握りつぶしたそうだ。しかしいつまでも逃れられるわけではなく、次に来たら出征する覚悟でいたらしいが、次に来る前に終戦を向かえた。運が良かったというべきなんだろう。
しかし、義父のお兄さんは戦地に赴き戦死している。
たった一戔五厘のハガキで伯父さんたちは殺されたのだと夫は言う。そんな人が全国各地にいるのだ。
この『一戔五厘の旗』が出版されたとき、大変話題になったことを夫は覚えているそうである。そういえば、義母は「暮らしの手帖」を定期購読していた。夫の実家に行って暮らしの手帖を読むのはいつも楽しみだった。この本も実家にあったかもしれない。
大正生まれの両親も、今はもういない。