日和見日記

pig-pearl 一行紹介 2012年4月に武蔵野美術大学通信教育課程に入学、2018年3月卒業しました。日常生活のあれこれを記述しています。

「パクリ? リスペクト? 北斎・広重との奇妙なつながり」の歌川広景

原宿にある太田記念美術館で歌川広景の特別展を観てきた。

「歌川広景については、歌川広重の弟子という程度のことしか明らかになっておらず、その正体はほとんど謎に包まれています。本展では、代表作である「江戸名所道戯尽」全50点を一挙に紹介するほか、「青物魚軍勢大合戦之図」や「東都冨士三十六景」といった他の作品も合わせ、謎の絵師・歌川広景の全貌に迫ります」(太田記念美術館公式サイトhttp://www.ukiyoe-ota-muse.jp/exhibition/hirokage-edomeishoより)

北斎や広重の絵を元にしている(と思われる)作品がけっこうあって、隣に参考にしただろう(あるいは、模写しただろうと思われる)「北斎漫画」や広重の「名所江戸百景」などが展示されている。
江戸後期なので、広重もそうだが、遠近法が取り入れられている。で、ところどころそのパースが違っているがそこはご愛敬。
どれもおもしろく、元になった北斎、広重の画と見比べるのはそれなりに楽しかった。
しかし…一緒に行った夫も言っているが、広景を見た後に北斎や広重を見ると、その画力の違いが歴然としている。
題材を選ぶ、構図を考える等々のことは横に置いて、絵だけを見比べてそう感じてしまう。
浮世絵版画という同じ形態だけに差がはっきりしてしまう。
会場には豊国との合作の版画もあったが、同様に豊国の良さがはっきりわかり、なんとも・・・。


「本展では、北斎や広重の作品も合わせて展示することで、広景のアイデアの源泉、さらには、北斎や広重が次世代に与えた影響力について掘り下げます」(同上より)と書かれていたが、その影響力ばかりが強調されていたように感じてしまった。
これが歌川広景の全貌と言われてしまっては…どうなんだろう?
展覧会というのは、時に残酷な結果をも導き出すのだなと感じた。