《スローな武士にしてくれ》(NHK・再放送)を観る
友人から、とてもおもしろいから是非観て! と絶賛お薦めされていたドラマ。
おおー、確かに面白かったよ。
まったく、「NHKのNHKによるNHKのため」のドラマで、ハイテク映像最新機器を使ったら時代劇もこういうふうに撮れるんですよというデモンストレーション、「新技術を使ったパイロット番組」になっている。それをまんまドラマ仕立てにしたところが、なんともうまいこと考えたナーと感心してしまうわけです。
タイトルは「スローな武士にしてくれ」、クライマックスのシーンは「池田屋の階段落ち」と、過去の作品に対してのオマージュが盛り込まれている。
特に、中村獅童演じる朽木城太郎が階段から転がり落ちて、内野聖陽演じる村田茂雄に「シゲちゃん、カッコイイー」と呟くシーンは、映画「蒲田行進曲」の風間杜夫と平田満を思い出した人が多かっただろう。(風間杜夫が内野聖陽ね)
で、蒲田行進曲では銀チャン(風間杜夫)の妻は小夏(松坂慶子)で、今回のシゲちゃん(内野聖陽)の妻(水野美紀)は元女優で、その芸名が如月小雪だよ(笑)。
私は「スローなブギにしてくれ」は原作も映画も見ていないから、そちらについてはタイトルと主題歌以外はまったくわからないのだけれど、観た人はどこかしら感じるところがあったかもしれない。
内野聖陽って、ほんとに達者な役者ですなーと関心。
ここのところ、平日午後に再放送されている「臨場」では、わざとらしいというか、ちょっとやり過ぎ感がでていたんだけれど、「スローな・・・」はほんとに上手いなーとしみじみ。殺陣のシーンは凄味さえあるし、セリフが上手く言えずに戸惑っているという表情も良い。
これだけ上手い人がたった一つのセリフもうまく言えないという役をやるという、まぁ、こういう役ができるのも上手だからこそなんだろうけれど、なかなか複雑な気持ちにもなった。
最近のドラマでは「きのう何食べた?」にゲイの役で出ているけれど、そちらは実に楽しそうに演じている。主役の西島秀俊が思ったよりもムムム・・・だっただけに、内野聖陽のうまさが光っている。
石橋蓮司や本田博太郎、里見浩太朗、伊武雅刀ら、ベテラン勢はさすがの演技力、そして柄本佑、中村獅童の若手(?、中堅?)も期待以上の出来だったと思う。そして福本清三が斬られ役で出演していたのが、もうなんとも言えない。
福本清三こそが「5万回斬られた男」。
村田茂雄(内野聖陽)のモデルは福本清三だろうと感じた人も多かったに違いない。
他にも、それぞれ配役がとても良くて、特にハイテクカメラマン・ラオウ役の藤本隆広は良かったと思う。